キャラクター考察

熱いストーリーもさることながら、
それを支えている魅力的なキャラクターについて、風波の思うところを語ります。


☆青銅聖闘士

  キグナス氷河  なぜかトップバッター
  アンドロメダ瞬  青銅での私のご贔屓bPキャラ。
  ペガサス星矢  最近気になる主人公。
  ドラゴン紫龍  ツッコミポイント満載キャラ。


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 キグナス氷河

 クールに徹した時の圧倒的な強さは印象的。
 …ただし、必ずしも徹し切れないのが玉に傷。
 でもそれは師匠や兄弟子、特別に闘いづらい相手だから無理もない。星矢なんて、魔鈴さん相手にした時はモロに殺られてることを忘れてはいけない。…しかも2回な。

 そんなクール&ホットな氷河は、実は青銅5人の中で一番強く「アテナ」と「兄弟」のことを思って戦っているのではないだろうか。
 氷河が聖闘士になると決めた動機は、はじめこそ母の遺体を引き上げるためだが、師匠のカミュからアテナの聖闘士としての誇りを学び、そして星矢と紫龍、瞬との友情を築きあげ、それが土台となってアテナのため兄弟のためと、強く意識しながら戦っている…。
 「友情」というと、真っ先に浮かぶのは紫龍だけど、彼は別段強く意識しているわけではないと思うのだ。紫龍にとってはそういうものを大切にするのは当然のことで、別段、意識しなくてもできてしまう…みたいな。

 忘れがちな設定だけど、氷河は当初、銀河戦争という名の私闘を罰する勅命を聖域から受けたからシベリアから日本に来ている。
 あの時点ですでに、サンクチュアリの意思に従うという、つまりアテナに仕えているという意識がハッキリしているのだ。
 遺体を引き上げるという以外にも、聖闘士になる目的がしっかり固まっているからこそのクールさ。このあたりは、一輝登場前の瞬のクールさにも通じるところが…。ちなみに瞬も、正義のために戦わなければいけない聖闘士というものを、その主義ゆえに意識できているのでは。
 マザコンと評されることの多い氷河だが、マーマは氷河の聖域だからなぁ。我が師曰く、まだ女々しく母親に会いに行っている…とはおっしゃってるが。

 早い段階でアテナへの忠誠心に目覚めていそうな氷河ではあるが、しかし、マーマからの母の愛というものを知っている彼にとって、女神の愛に目覚めかけているという段階の沙織さんは、まだ一人の年下の少女という感覚が強くある気がするなぁ。とくにアニメなんかを見ているとその思いが強くなる。
 沙織さんも頑張っているから俺達も頑張ろうと、別次元ではあるが共に闘っている。 …というより、俺が戦って早く楽にしてやるみたいな感じか。愛を与えてくれる人を護ってあげたい、という意識があるのではないかと。氷河は、アニメで結構多く「沙織さん!」って呼びかけていたような印象があるので。
 ううむ、そう言うところ大人っぽいクールさに繋がっているのかもしれない。

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 アンドロメダ瞬

 聖闘士を目指した目的はそれぞれ違う。瞬の目的は、日本に帰ってきて兄である一輝と再会すること。これは、銀河戦争編あたりでもう達成されている。
 その後、アテナとの邂逅をへて聖闘士の使命のために戦うことに決め、新たな使命をもったとはいえ、瞬のあの有名なスタンスはアテナのそれとは全く異なる。
 アテナは平和を人々を愛し、侵略者から地上を守る。そのために聖闘士という軍力を持っている。地上を守り平和を得るために、戦いという手段を選択している。
 しかし瞬はそれがイヤだときている。

 だがそういう時の状況として、十二宮もアスガルドも海底神殿も、第一の目的が別にあったことを忘れてはいけない。攻撃から身を護るためには、その相手を排除もしくは戦闘不能にするということが第一目標になる。だが、十二宮では教皇を連れてくること、アスガルドではオーディーンサファイアを手に入れヒルダの洗脳を解くこと、海底神殿ではマンモスピラーを倒すこと、それぞれ、第一目標が敵を倒すことではない。
 するととたんに彼の中の矛盾が顔を出す。とにかく割り切れない性格なのだろう。結果論に終始できない。命を大切にしたい、無益なことはしたくない。
 聖闘士として、敵を倒す手段を学んび、それが一番身近であるにもかかわらず、第一目標達成をそれでは解決したくないのだ。
 優しい性格をしている。ということだが、アニメでは特に、登場時は不敵で余裕に満ちた表情で鎖を操ったりなんかしているので、二重人格だのぶりっ子だの、性格悪いだの言われたりしている。私としては異議を唱えたいが、殺気を放ち、実際に殺そうと襲いかかってきている相手に対して敵対感情を持たないというのは、少なくともかなり強い精神力の持ち主であるに間違いない。専守防衛は、裏返せば攻撃してくる相手には容赦無いともとれるしなぁ。その聖衣の性質と同じように、防御本能のほうが高いのだろうか。
 防衛に関しては苛烈。攻撃に関しては弱気。あ、あと兄さんに関することでは容赦無い…。自分の実力にはかなりの自信があるし。その辺は氷河と似た感じか。
 頑固ともいえるが、そんな根気の良さは、相手を思いやる方向に使えば良い方に働く、優しさの持つ強さであるといえる。

 しか〜ぁし、その瞬の持ち味である「優しさの持つ強さ」が、「戦闘時のケジメ」というか「カッコよさ」につながらないのである。
 戦いを選択したアテナの下につくならば、戦いに勝つという「聖闘士としての責任」を負うのである。が、頑固にも傷つけたくないと思っている瞬には、矛盾が生まれて責任を果せないことが多くなる。
 戦いに出てきたのに、相手を傷つけたくないという主義を折り合いつけずに一緒に持ってきてしまう、持っていても何とかなるのではないかという読みの浅さはかさが、瞬の「甘さ」なのである。
 だから兄さんが出張らなくてはいけなくなるわけで…。トホホ
 私は対イオ戦が好きなのだが、瞬はイオと戦いの相性が大変よかった(イオからすれば悪かった)。なので、実力的に優位に立てた為、矛盾を抱えたままでも「何とかなって」しまった。
 対バド戦は、ミーメとの戦いを経て、ヒルダをアテナを、ひいては地上を救うために神闘士を倒すことへのためらいが遅まきながら吹っ切れていて矛盾が無かった。
 だから、瞬の戦いがカッコよかったのではないかと。あれっ、なんだかけなしてる!?
 まぁ、そんなわけなので、私としては「優しさ」を強いなぁ、とは思うことはあっても、その「甘い」ところがかわいいとは思わないのである。映画での扱いはヒドイ。結局一人では敵を一人も倒していなかったりする…。

 作中によく「女々しい」という言葉が登場するが、「漢」の反対語としての「女」という意味で私は解釈。なので、別に男女差別用語ではないと定義付けておこう。一応念のため、ジェンダーに考慮した書き込みをば…。
 そんな、時には言葉で、そして時には拳で正々堂々と己を主張する。のが漢。…となると、瞬の名セリフ「兄さん来てくれたんだね」は、特に言って欲しくないNo1。
 本気で「惰弱な!」だと。
 兄さん召還なんて私は嫌いだぁっ〜。
 瞬ファンとして、女々しい彼は見たくないのだが、コミックス15巻の扉絵には噴飯しました。
「百合背負ってるーーーっ!」可愛いじゃないか。
ぶっちゃけ、当時好きになった理由って、チェーンがカッコイイとか、顔が良いとか、ものすごく外見で決めた気がするし…。ダメじゃん!

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 ペガサス星矢

 純粋、まっすぐ、熱血。
 三拍子そろった誰もが認めるところの、紛うことなき正統派熱血主人公キャラ。
 単純バカ、猪突猛進、すぐ熱くなる、と、悪い意味でツッコまれることもあるが、戦闘は意外に頭脳派だ。
 戦い後半は根性になるけど、それを言ったら聖闘士みんなそう。
激、紫龍、ミスティ、アルデバラン、バイアンと、ちゃんと傾向と対策を考えて戦ってることを忘れてはいけない。
「波紋ができるのは、ここが海底で湿度が異常に高いためか」
 う〜ん、このセリフかなり知的。
 他の4人は、自分の技の特性を伸ばすことで強くなるが、星矢は特に属性がないせいもあってか、魔鈴さん直伝の戦闘理論を余すところなく活用している。

 修行地は、アテナのお膝元である聖域。
 だがその割には、彼は、まったくもって聖域に対して忠誠心がなかった。
 しかも、アテナの存在すら眉唾ものだと思っていた様子。
 魔鈴さんはいったいどんな指導を…。
 まぁ、老師はサガの乱の真相を知っていそうだし、瞬はその性格から、師匠たちは聖域への忠誠心を植え付けなかったのかもしれないが。聖闘士を目指す事情や目的は違えど、師匠は「アテナの聖闘士」として教育を施してきたことが窺える。
 だが、魔鈴さんは星矢を聖闘士には育てたが、「アテナの…」という風には育てていなかった気がする。
 魔鈴さんはそういうこと教えてなかったってことだろうか。
 あ、砂に残した置手紙「セイヤ、アテナを守りなさい」もしや、この時になって初めてですか!?
その言葉に従ってか、その後はアテナの聖闘士の中のアテナの聖闘士になってますが。

 あと、実は聖闘士になろうとした目的が最後まで達成されないのは、星矢だけだったりする。
 目的は、星矢は姉をみつける(聖闘士になる=生き残る)ため。氷河はマーマを引き上げる力を手に入れるため。紫龍は老師と出会い、生きることの根本的な支柱として、聖闘士を目指した。
 さて、瞬の目的は、日本に帰ってきて兄である一輝と再会すること。星矢と同じく生き残って日本に帰ることが最大動機。しかし星矢とは違い、それは銀河戦争編あたりでもう達成されている。暗黒四天王を引きつれ敵として現れたとはいえ、元気な兄と再会を果したのだ。多少一輝に放浪癖があろうが、さり気に青銅内幸せ度bQくらいじゃないのかな。え、もちろんbPは紫龍。

 この前ふと思いついたのだが、星矢には「成長するピーターパン」のようなイメージを受ける。
 ピーターパンはいつまでも変わらない夢を追いつづけている永遠の少年。
星矢は燦然と輝く希望の追って、未来へと成長する少年。
 そんな星矢だがら、たとえ人気投票ではトップにならなくても、嫌いな人はほとんどいないんじゃないかな。
  ペガサス石油を見かけるたびにトキメキを抱かずにいられない。…いや、キグナス石油、コスモ石油も同様だが;

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 ドラゴン紫龍

 連載当時の人気bPキャラクター。実際は瞬との激しいトップ争いをしてたみたいなのだが、なぜかそういうイメージがある。でもこのランキング、今取ったらどうなるのか、皆目見当もつかないけれど。

 で、当時は私も紫龍をカッコイイと思っていた。盾は最強だし龍だし、強いし。
 けれど今は…。どんなに俗に言う同人的思考を外して見ても「変!
 いや、それは身も蓋もないけれど、どうにも自分を追い詰めないと実力が発揮できないタイプなのは確かだ。
 これは瞬とは真逆なのか…。瞬は、状況的に追い詰められないと奥義の封印を解かないけれど、紫龍はぶっちゃけ解けない!?
 友の為と言えば聞こえはいいが、すなわち自分のことをあんまり考えていないということで、それなら簡単に捨て身になるわな…。自分一人も大切にできない者に、他人が大切にできるのか。う〜ん、確かに春麗を心配させたり泣かせたりしてばっかりだ、この男。
 青銅主要メンバーの中で、もっとも恵まれた環境で育った男、紫龍。聖闘士の中でも伝説となっている老師のマンツーマン指導、可愛い幼馴染み、気候もそんなに極端でもない。三拍子揃っている。だが、肉親との絆が至極薄い所為で、愛情よりも友情の方が上位になってしまったのだろうか。
 青銅では、老師譲りの知識を生かして参謀的位置にいて、皆を前に進ませる役をよく引き受けるけれど、それってアテナを助けることに真っ直ぐじゃない、とも受け取れる。
 例えば十二宮編では、自分が教皇を倒すなんて、考えてもいなそうだ。アスガルド編でも、自分がオーディンサファイヤを七つ手にする可能性など絶対に考えていない。露出は好きだが、控え目な性格?
 それと、紫龍は流石の強敵と対戦することが多いが、それでも自分が三人も四人も倒して仲間の負担を軽くしようとか思わないだろうか? そのあたりが頭を使っているようで使っていない感じがする。
 紫龍の露出好きは、ファンの間ではもはや常識だが、それは聖衣への不信感ひいてはアテナへの忠誠心の薄さのようにも思えてしまう。星矢はアテナを信じているけれど、紫龍は星矢を信じることで自動的にアテナを信じることになっている…というような、間接的な感じがする。シュラに合わせる顔がないぞ。
 先にも書いたが、紫龍にはコンプレックスがない。それが関係しているのだろうか。
 今ふと思ったのだが、実は紫龍、5人の中で一番成長シーンが少ないキャラなのかもしれない。乗越えなければいけない壁が、設定として付いて回っていない。星矢に姉、一輝瞬に兄弟、氷河に母といったような、運命に反抗する理由として、根っ子のところで基盤となるような人物が紫龍にはいなのだ。
 だからなのか、初登場時には今時流行りの「自分探し」をしていたりする。何の為に戦うかという動機が決定的に薄いキャラだったのだ。だが、仁義は人一倍持ち合わせていたタイプの紫龍は、命を助けられるという体験を通して星矢にゾッコン惚れて友情に目覚めることに。後はひたすら兄弟に尽くす…。
 こうしてみると、巷ではよく星矢の方が熱血主人公で単純馬鹿と評されるが、私としては紫龍の方が悩んでない分、単純馬鹿キャラかもしれないと思う。

 と、辛口になってしまった気がするが、それでもやっぱり紫龍がカッコイイのは、対する敵がいちずな悪か、もしくは最後には友情が芽生えるかで終わるので、勝った時の爽快感がやはり違うからかなと。一つの例外、アスガルド編でのフェンリル戦の後味のものすごい悪さがそれを証明しているかと思う。
 破壊されなかったためしはないが、やっぱり「最強の盾」とかいう称号には惹かれてしまうし、その星座が龍だというのは、日本人にとってはものすごくポイントが高い。高すぎる。白鳥…なんかより、ズルイくらいにデフォルトで強いイメージだ。
 長髪なびくその下の背中には龍のTATOOというのもカッコイイ。
 氷河はともかく、紫龍はいつの間に百龍覇を体得したんだとか、突っ込みどころはまだあるが、100の質問でもあげたように、対シュラ戦がものすごく印象深かったので、その戦いを繰り広げた紫龍はやはりポイントが高い。

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