「王さまは裸じゃないか!」
一人の坊やが叫びました。
その時、
王は己の愚かさに気がつきました。
そして翌日、
その坊やの首と、
その坊やの父の首と、
その坊やの母の首と、
その坊やの兄妹の首と、
その坊やの祖父の首と、
その坊やの家の財産を記した徴収書とを見た時、
己が求め、まとっていた、
いや、
今も変わらずまとっている、愚か者には見えぬ衣の姿が、
王の眼にも、今やっと見えました。
それは権力という名の、堅固で攻撃的な鎧であった、と…。
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