オレの町


この町が好きだって 叫んでみても
吹いてくる風の強さに 変わりなどなくて
伸びすぎた前髪を 強く後ろに撫で付けてくる

生まれたときから過ごした
俺の匂いがこの路地には染みついている
それを嗅ぐのも今日が最後だ
俺はここから旅出つ

この町が嫌いって 怒鳴ってみても
込み上げてくる涙に 終わりなどなくて
気付いてしまった 俺はそんなに強くないと

ピンク色したリボンの君に 恋した思い出だけ新しい町へ持ってゆこう
桜で霞む町を思い浮かべる
三月 もうすぐ春が来る

この町が好きだって 呟いてみたら
風が涙をさらっていった




[戻る]